101.森と氷河と鯨 [その他]
入試も全部終わり、公立の結果がまだ出ていないところがあるけど、一区切りつきました。第一志望に受かった人も、そこは失敗してしまった人も、みんなよく頑張った。
僕は高校入試は大人への通過儀礼だと思ってる。イニシエーションだ。成功した人も失敗した人もいろんな事をつかんだと思う。それを長い人生で活かしてね。(大学入試はなんだか虚しいな。入るのは簡単で出るのが難し制度にすれば良いのに。)
一昨日(2/28)はお茶の水校で卒業パーティがあり、たくさんの卒業生たちが来てくれて盛り上がった。始まる前から終わったあとまで4時間ぐらい元生徒(という呼称が寂しいね)たちと話してたので、翌3/1の新学期のスタートの朝一の授業では疲れで頭がまわらず、板書でいくつか間違えてしまった。^^;すまん。
今の時期が1年で一番暇なので、部屋を片付けてます。とりあえず仕事部屋に散乱してるこの2年間に理科散歩のために読んだ本を片づけた。というか、寝室に積み上げた。
生徒やら先生やら知人にだいぶ貸してるのでこれで全部ではないけど、まぁ、よく読んだなと我ながら思う。しかし!このあと山が全部崩れて悲惨な目に。orz|||
ここのところ中学生向けの本ではないネタで更新してた。中学生向けの本の時にはナンバーをふって、今まで通り水曜日に更新しようと思って、明日の更新に向けて用意してたんだけど、今朝新聞を見てたら教育TVの「知るを楽しむ」で星野道夫を扱うというので、急遽記事を更新することにした。
星野道夫は動物写真家。特にアラスカを活動の拠点とし、数々の優れた作品を発表した。僕の一番好きな動物写真家の一人。だった。
過去形にしたのは、大人の人は知ってると思うけど、1996年、カムチャッカ半島で取材・撮影中、ヒグマに襲われて亡くなってしまったんだよね。本当にショッキングなニュースだった。
この本は亡くなるまで家庭画報に連載をしていたものをまとめた、いわば未完成な遺作だ。後ろに亡くなる直前、ヒグマに襲われる直前の日記がついている。
さて、“動物写真家”と上に書いたけど、星野道夫の魅力は単に動物を追ってその珍しい生態や可愛い生態を写真に納めtだけではないところにある。
写真もすごく良いんだよね。でもそれだけじゃないんだよ。人と自然のつながりというか、人も自然の一部として扱っていて、その自然の一部である人が自然とどう関わりあってきたのかを、自分が自然と一体化することで探求してきた写真家なんだよ。
そしてそれを写真だけではなく文章にもした。この本は生きていても代表作になっただろうけど、残念なことにそんな彼の未完の代表作となってしまった。
本はこう始まる。
一人の不思議なインディアンに出会ったのは、雨の多いこの土地では珍しく晴れ上がった、四月のある暖かい日の午後だった。それが偶然なのか、何かが導いてくれたものなのか、今でもふと考えてしまう。
その頃、ぼくはずっとワタリガラスのことを考えていた。
イヌイットの神話ではワタリガラスがこの世界を創成したことになっている。そのワタリガラスと人と自然とのつながりの原点を探る旅の記録がこの本だ。シャーマン(自然や霊と交信する呪術師)の子孫ボブとその旅を始める。
本の扉の裏にはこうある。
ワタリガラスはこう言った。
「人々のために苦しむのだ。この世を救うために炎を持ち帰るのだ」
やがて若者の顔は炎に包まれ始めたが、ついに戻ってくると、その炎を、地上へ、崖へ、川の中へ投げ入れた。
その時、すべての動物たち、鳥たち、魚たちはたましいを得て動き出し、森の木々も伸びていった。
ボブは彼の村で唯一神話の口伝を許された人で、その神話を、創世記をを旅をしながら星野道夫に語っていく。星野道夫とボブの出会いは実は偶然なんだよね。霊的なものの導きなんだろう。星野道夫のスピリチュアルなものが感応したんだね、きっと。
突然のことなので、まだ全部は読み返していないけど、文章も良いし、写真ももちろん良い。
すでにきてる生徒情報ではこれを(もちろん一部分)採用してる国語の教科書もあるらしい。とても良い本だよ。お勧めだよー。
【番組名】
NHK教育テレビ 知るを楽しむ 私のこだわり人物伝 (火)午後10時25分~10時50分
「星野道夫 生命へのまなざし」
【放送日と解説者】
第1回 2009年3月 3日 今森光彦
第2回 2009年3月10日 湯川豊
第3回 2009年3月17日 星野直子
第4回 2009年3月24日 池澤夏樹
再放送は翌週の火曜朝5:05~5:30
◆中学生で読める度:★★★★☆
◆内容充実してる度:★★★☆☆ まぁ、理科の本ていうわけでもないからね。でも“考える種になる本”だし、食物連鎖も内容に関わってる。
僕が持ってるのは最初に出たこっち。廃刊みたい。
この本の解説を、TVの4日目の解説者・池澤夏樹が書いている。そういえば池澤夏樹も不思議な神話的世界を取り込んだ小説を書いてたな。読もうと思って読んでない。何だったかなぁ?
星野道夫氏の公式HPを見つけた。 →私を押して。
1回目の案内人・今森光彦氏の「昆虫4億年」の記事 →私を押して。
この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。
よく本を読まれていますね、さすがです。
星野道夫さんの写真は好きですね、
都会生活をしていると自然をもっと感じたいという
欲求を満たしてくれるような写真ですね。
by いっぷく (2009-03-03 17:00)
こんにちは
卒業パーティーが終わって、全部終わっちゃった感じで寂しいです。
今日は学大の教科書を買ってきました。
生物の教科書は所々分かる所があるっていう印象・・・
少し心配だなー
星野道夫は中学の国語の教科書にも出ていました。
そこに載ってる写真は、月並みな表現ですが雄大な自然を感じました。
by Eleanor Rigby (2009-03-03 19:01)
>いっぷくさん そう、自然と一体になった人の撮った写真ですよね。
気持ちが吸い込まれていく感じかな。
by すうちい (2009-03-03 21:14)
>Eleanor Rigby君 そうだね、僕もちょっと寂しい。君たちの声がまだ耳に残ってる。
今の生物は遺伝子についての記述が詳しいから、授業をよく聞いていないと分かんなくなるよ。…と、いうほど心配はしてないけど、君に関しては。
載ってるんだってね。ということは附属竹早中と目黒十中は同じ教科書か。
写真も文章も良いだろ?
でも文章が一部だと本当の良さは分からないかな。
by すうちい (2009-03-03 21:19)
引用されている星野道夫さんの文章、とっても味わいがあって好いですね。折をみて読んでみようと思います。
私は、ネイティブアメリカンの人々が好きなので、星野さんがワタリガラスのことを考えてしまった気持ちが、理解できるような気がします。
by アヨアン・イゴカー (2009-03-04 00:17)
残念なことに星野道夫さんの名前は記憶にありません。ぜひ読んでみたいです~!!
科学者の中には、霊的なものをすべて否定する立場の方もいらっしゃるようですが…確かに一時期、不思議なことは何でも霊的な現象であるように言われ過ぎていると思った時期もあったりましたが…まだまだ科学で解明されていないことも世の中にはたくさんありますよね。アラスカのような大自然の中にいると、そういった霊的なものを肌で感じたりするのかもしれませんね。そんな面でも興味が湧いてきています!
by めりっさ (2009-03-04 03:13)
>アヨアン・イゴカーさん 良い魂の持ち主は良い文章が書けるんだろうな、と感じる、そんな文章を書く人です。きっと自然と一体化してるんですよね。
by すうちい (2009-03-04 22:57)
>めりっささん 私が最初に“星野道夫”の名前を知ったのは、昔出ていた雑誌「アニマ」に掲載された写真からです。
すぐに名前を覚えました。何かとらえて放さない魅力のある写真だったんですよね。
私が初めてスピリチュアルなものを感じたのは、20才の頃、一人で奈良東大寺のお水取りを見て、そのまま朝まで東大寺の中にいたときです。
自分が獣になっていく感じ。
二月堂から見た朝日に照らされる奈良の町がきれいだったなぁ。
by すうちい (2009-03-04 23:09)
雪崩に注意が必要な時期になりましたが、まさか部屋の中で被災するとは・・・(笑)
大学入試は同感ですね。入試がゴールになっていて、後の4年間はご褒美の遊ぶだけの期間になっちゃってますよね。
星野道夫さんは知りませんでしたが、とても魅力を感じますね。
最後のホッキョクグマ?の写真も、とても良いですね。
by SAKANAKANE (2009-03-14 14:54)
いやぁ、家ではメガネをしてるんですけど、顔で支える羽目になったので、メガネも落っこちて大変なことになりました。^^;
星野道夫は写真も文も良いですよー。^^
by すうちい (2009-03-14 17:29)
以前、星野道夫さんの写真展に足を運んだことがあります。
壮大な写真とBGMのエンヤがマッチングして、不思議な空間に迷い込んでしまったような感覚を今でも憶えています。
by ka-mi (2009-03-15 23:43)
大きい写真で見るとまた良いんですよね。
まなざしが感じられて。
いきてらしたらどういう世界にたどり着いていたんだろうなと思います。
by すうちい (2009-03-16 23:52)
極北の大自然とイヌイットの作品に癒されました。ホント「眠っている白クマは可愛い」
新潟の楽人といいます。
先日、星野道夫のアラスカの写真を見に長岡市栃尾美術館に行って来ました。正面玄関を入ると2.6メートルの白クマの剥製が迎えてくれました。日本では滅多に拝見できない剥製です。子供もこの大きさにビックリで、並んで写真撮影もできました。展示室では、アラスカで生活しているイヌイットが作った作品(版画・彫刻・タペストリーなど)が沢山展示してありました。イヌイットの作品を鑑賞する貴重な機会で見ていると癒される作品大好きと云って大学生など若い女性に人気です。2階ホールでは、星野道夫がアラスカアで写真を撮影する様子やカリブーなどの動物が沢山写っているDVDを見ることができます。なかなか手に入らないこのDVD、写真集や書籍の販売もしています。秋のひと時を星野道夫の写真とイヌイットアートは必見です。
詳しくは、下記の栃尾美術館のHPへ
http://www.city.nagaoka.niigata.jp/kankou/miru/siryou/t-bijutu.html#tochio-m
by 新潟の楽人 (2009-10-11 00:13)